“新生Interop”でモバイル&ワイヤレス分野の併催イベント新設


ナノオプト・メディアの藤原洋代表取締役社長

 来年開催のネットワーク技術に関するイベント「Interop Tokyo 2010」では、モバイル&ワイヤレス分野をテーマにした併催イベント「Mobile & Wireless Tokyo 2010」が新たに開催される。運営事務局の株式会社ナノオプト・メディアが5日に行った出展者向け説明会において、イベントロゴや企画案などの概要を発表した。

 「Interop Tokyo 2010」は、千葉県の幕張メッセで2010年6月9~11日に開催される(カンファレンスは7~11日)。併催イベントとしては、通信・放送分野がテーマの「IMC Tokyo 2010」、デジタルサイネージをテーマとした「デジタルサイネージジャパン 2010」がある。

 2009年は情報セキュリティをテーマとした「RSA Conference Japan 2009」もあったが、2010年は併催イベントに含まれておらず、代わって「Mobile & Wireless Tokyo 2010」が行われることになる。従来のInteropでもモバイル&ワイヤレス分野を扱うコーナーがあったが、独立したイベント名称を設け、規模も広げることにした。

 企画トピックとしては、WiMAXやLTE、次世代PHSなどのモバイルワイヤレスブロードバンドや、それらに対応するモバイル端末、IEEE 802.11nの無線LANを体験できるWi-Fi Cafeなどの案が示されている。さらにワイヤレス関連のトピックはモバイルに限らないとし、「ワイヤレス電力」や「近距離通信」、使用する周波数や帯域・通信方式を状況によって動的に変える「コグニティブ無線」なども例に挙げている。


「Interop Tokyo 2010」の全体像「Interop Tokyo 2010」のカバー範囲

「Interop Tokyo 2010」の展示会は、幕張メッセの4、5、6ホールを使用する。出展者向け説明会で配布されたフロアマップでは、今年の出展社などですでにほとんどの小間が予約で埋まっている模様だ。

 これに加えて「Mobile & Wireless Tokyo 2010」「IMC Tokyo 2010」「デジタルサイネージジャパン 2010」の展示会で7、8ホールを使用する。新設する「Mobile & Wireless Tokyo 2010」は、8ホールの半分程度を占める。全体からみるとスペースはそれほど大きくないものの、ナノオプト・メディアでは携帯キャリア4社の出展を誘致したい考えだ。

 なお、モバイル&ワイヤレス分野の国内イベントとしては、毎年7月に開催されている「WIRELESS JAPAN」がある。


「Interop Tokyo 2010」などのフロアマップ出展者向けの今後のスケジュール

電気自動車の相互運用性も主要テーマに

 「Interop Tokyo」は2008年までCMPテクノロジージャパンが手がけていたが、同社からイベント事業の営業譲渡を受けたナノオプト・メディアが2010年からの運営を引き継ぐことが8月に発表されている。

 今回の出展者向け説明会では、ナノオプト・メディアの藤原洋代表取締役社長があいさつし、“新生Interop”の4つの要点として、「政策動向:政治主導への転換」「業界動向:インターネット/モバイル/放送の連携」「技術動向:ITによる環境エネルギー革命」「市場動向:マーケット標準を産むInteropへ」を挙げ、「これら4つの動向の最先端がわかるイベントにしたい」と述べた。

 説明会では、東京大学教授の江崎浩氏や慶應義塾大学教授の中村修氏も登壇した。


“新生Interop”の4つの要点(左から)藤原洋社長、東京大学教授の江崎浩氏、慶應義塾大学教授の中村修氏、デジタルサイネージコンソーシアム常務理事の江口靖二氏

 カンファレンスのプログラム委員長を務める江崎氏は、“新生Interop”の基調講演では、「クラウドコンピューティング」や「Webサービス」のほか、「スマートグリッド」と「公共交通」についての講演者を招く予定だとした。江崎氏は、これからの5~10年に向け、新たなエネルギーや電気自動車のインフラが整備されていこうとしている中で、ネットワークインフラにとどまらず、こうした社会インフラの“Interoperability(相互運用性)”について考えることもInteropのミッションだと説明した。

 なお、「Interop Tokyo 2010」では、プレビューイベントとして「スマートグリッドジャパン」も予定されており、ゆくゆくは併催イベントとして規模を拡大したい考えだ。

 中村氏は、Interopの会場内に設営される実験ネットワーク「ShowNet」の構築を長年手がけ、いわば企業の枠を超えた技術者のコミュニティを育ててきた。“新生Interop”の役割としては、クラウドや仮想化、WiMAX、IPv6などのテクノロジーをもとに、ユーザーに対してソリューションを提供し、ビジネス化していくことと説明。そのためには、技術者だけでなく経営層などのコミュニティも必要だとし、国内外の通信事業者や通信機器メーカーのほか、インテグレーター、放送局、広告代理店、学会、大手ユーザー企業などのエグゼクティブを招待して開催する「Interop Summit」を紹介。「幕張を起点にマーケットを創り出していきたい」と述べた。


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(永沢 茂)

2009/11/5 20:46